第10回 審査講評
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TYサポート・プログラムの第10回クラシック・レコーディング支援は2011年8月1日から9月20日までの募集期間に応募のあった全29点から、応募書類およびサンプル音源により審査員各氏による個別の審査が行われた後、2011年12月5日に審査員合同の審査会を開催し、最終的に下記5作品がサポート対象作品として選定されました(順不同、敬称略)。
◎加瀬孝宏 「20世紀のオーボエ作品集」
<応募者:加瀬孝宏>
◎大崎結真 ドビッシーのピアノ曲集「Yuma Osaki Plays Debussy」
<応募者:大崎結真>
◎石井佑輔「ジョリヴェ/ヴァレーズピアノ作品集(仮)」
<応募者:石井佑輔>
◎松村未英 「ゴイェスカス:ゴヤの誘発した音楽(仮) 愛と死の物語」
<応募者: 松村未英>
◎菖蒲弦楽三重奏団 「日本の弦楽三重奏曲VOl.2〜呉泰二郎、入野義朗、清瀬保二〜」
<応募者:ミッテンヴァルト>
おかげさまで第10回目の募集となった本プログラムの認知はクラシック音楽の世界では着実に高まっており、レコード会社、プロデューサー、演奏家と様々な立場からのご応募をいただいておりますが、今回は5作品中4作品が演奏家自身からの応募作品でした。多数の秀作の応募が集まる中、明確な企画意図、作品や選曲への思い入れなどが応募書類と音源に表れている作品に、審査員からの期待も込め、サポートが決定しています。
加瀬孝宏氏の「20世紀のオーボエ作品集」は演奏力の高さが評価され、全会一致でサポートが決定しました。大崎結真氏のドビッシーのピアノ曲集「Yuma Osaki Plays Debussy」は、生誕150年の2012年に発売するドビッシー作品ということもあり、過去作品の演奏力への評価と今後の活躍への期待を込めて選定されています。石井佑輔氏の「ジョリヴェ/ヴァレーズピアノ作品集(仮)」、松村未英氏の「ゴイェスカス:ゴヤの誘発した音楽(仮) 愛と死の物語」は共に、日本では未発売の個性的な作品を広めたいという演奏家自身の強い思い入れが評価されました。菖蒲弦楽三重奏団 「日本の弦楽三重奏曲VOl.2〜呉泰二郎、入野義朗、清瀬保二〜」は同企画の第二集目でしたが、内容の素晴らしさから審査員から「ぜひ聴いてみたい」との声が上がりサポートが決定しました。
今回サポートが決定した作品のうちレーベル・販売会社が決まっていなかったため、選定された段階では「条件付きサポート」という形を取り、レーベル・販路が決定し条件をクリアした時点で正式にサポートが決定したものが含まれています。このようなケースも含め、レーベルや販売会社と、制作内容や営業について、具体的に話がなされていない場合に、サポートが決定してから曲目変更などの相談を受けることがございますが、本プログラムは、応募書類およびサンプル音源により、その「企画」に対して支援をするものであり、原則として曲目変更はできないものとして精査したプログラムによる応募をお願いいたします。
今回も書類の不備、サンプル音源の未提出などが多数見受けられました。応募時の不備に対する個別の確認は致しかね、書類不備により審査が受けられなくなることもありますので十分ご注意ください。
またなるべく広く多くの方をサポートするために、過去にサポートを受けた方からの応募に関しては相応の考慮をしておりますので、あらかじめご了承ください。
TYサポート・プログラムは、第10回目の節目となる回の審査を終え、まもなくスタートから7年が経ちますが、音楽産業、音楽市場の状況もスタート当初より大きく変化しています。このタイミングで今後の本プログラムのあり方を検討し、次回の募集につなげていきたいと考えています。次回の募集時期や募集形態は決まり次第、当ホームページに掲載いたします。 |